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【2025年対応版】感染症リスクとワクチン・検査の労務管理|強制・解雇はどこまで可能か(社労士監修)
2021/08/18
(最終更新日:2025/09/24)
はじめに|感染症リスクと企業の責任
新型コロナウイルス感染症の流行から数年が経過し、現在はコロナに限らず インフルエンザ・RSウイルス・ノロウイルス などが日常的に職場リスクとなっています。
感染症対策は「従業員・顧客の安全」と「事業継続」に直結する一方で、従業員の自己決定権・プライバシー権を尊重する必要もあり、企業には バランスある労務管理 が求められます。
ワクチン接種を業務命令で強制できる?
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予防接種法ではワクチン接種は「努力義務」とされ、最終的な判断は本人の自由意思 に委ねられています。
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副反応リスクや宗教・体質の理由で接種できない場合もあるため、会社が業務命令で強制することは無効 と考えられます。
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逆に「接種してはいけない」と命じることも同様に無効です。
会社としてできるのは 推奨・協力依頼 まで。
ただし過度な勧奨や不利益取扱いは ワクチン・ハラスメント(ワクハラ) と判断されるおそれがあります。
ワクチンハラスメントとされる行為例
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接種の有無を繰り返し問いただす
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接種・未接種者のリストを掲示する
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未接種者を異動・降格・排除する
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拒否を理由に誹謗中傷する
従業員を守る意図であっても、本人が「強要」と感じればリスクになります。
検温・検査は義務付けできる?
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検温・抗原検査・PCR検査 は身体的負担が小さく、安全配慮義務の一環として義務付け可能と考えられます。
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実効性を確保するためには
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費用は会社負担
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就業規則に明記
が必要です。
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ただし、拒否を理由とした停職・解雇は行き過ぎであり、無効と判断される可能性が高いため慎重な運用が求められます。
ワクチン拒否を理由に解雇できる?
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労働契約法第16条に基づき、合理的理由を欠く解雇は無効です。
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接種拒否=直ちに解雇は 違法リスクが極めて高い と考えられます。
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医療・介護など感染リスクが高い職場では、
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配置転換
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在宅勤務
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一時的な休業命令
などの代替措置が検討されますが、解雇は最後の手段に限られます。
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採用時に接種歴を聞いてもいい?
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ワクチン接種は本人の自由意思であり、原則として採用選考で条件化・質問することは不適切 です。
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宗教や体質の理由による拒否もあり、職業安定法上の就職差別に当たる可能性があります。
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感染症対策は「接種歴」ではなく「入社後の勤務ルール整備」で行うべきです。
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企業が取るべき実務対応(2025年版)
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強制ではなく推奨と制度設計 を基本とする
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ワクチン接種休暇・副反応休暇 を規程化する
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感染症対応マニュアルやBCP に勤務ルールを明文化する
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説明と同意のプロセス を丁寧に行う
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顧客への公表は正確に(「全員接種済み」など誤表示リスクに注意)
まとめ|感染症リスクは「制度」で管理する時代へ
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ワクチン接種は業務命令で強制不可
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拒否を理由にした解雇も原則違法
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企業は「安全配慮義務」と「従業員の権利保護」の両立が必要
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感染症リスクは今後も続くため、制度設計とBCP整備が経営の必須課題
RESUS社会保険労務士事務所のサポート
当事務所では、以下のサービスを提供しています。
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感染症対応マニュアル作成・改訂
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ワクチン休暇・副反応休暇制度の設計
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就業規則や人事制度への反映
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ハラスメント防止研修(ワクハラ・カスハラ対応)
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事業継続計画(BCP)策定支援
顧問契約の有無を問わず、単発相談も承ります。
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【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事業所への法的助言には代えられません。必ず顧問弁護士・顧問社労士にご相談ください。
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