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管理職者や総務部は人事労務コンプライアンス研修を受けていますか?
2023/05/09
大企業の管理職となるためには要職者による推薦のほか、社内の試験をパスしたり十分な研修を受けたうえで晴れて管理職者となるわけですが、中小企業には「研修を受けたことがない管理職者」も多くいます。
ここ数年の企業は採用難・人手不足の傾向が続いており、雇い入れた新入社員・中途社員はモノになる前にすぐ退職。穴埋め人材獲得のための広告費、派遣会社等人材紹介会社への支払い、また今年も確実といわれている最低賃金の引き上げによって、企業の人材獲得競争は熾烈なものとなっています。入れるほうだけでなく出ていくほうに目を向けると、従業員が退職する理由の最たるものは「職場の人間関係」であり、離職率が高い理由は上司に問題があるかもしれないと考えたこともあるはずです。
たしかに管理職者は部下にとって人事権をもつ強力な存在であり、「研修を受けたことがない管理職者」は、「運転免許を持たないドライバー」のように危険です。多くの企業では管理職者の不祥事防止のために様々な研修を受けさせて同乗者や他人へ危害を加えないような安全運転を学びますが、多くの中小企業では社長だけでなく管理職者にもまともな研修を受けさせていません。部下を評価する立場にあるにもかかわらず「ハロー効果」や「期末誤差」も知らないまま、自分の経験や感覚だけで部下を評価させている会社も多くあります。人事運営の基本から考えれば人材不足は当然の結果でこれでは自業自得と言われても仕方がありません。従業員から相談があつまる人事総務部門でも意外と人事研修を受けたことがなく、「実務は知っているけれど基本は知らない」ということもあります。
職場の定着率を改善すれば人事コストは削減され企業の成長は加速しますが、上司の教育を怠った「穴の開いたバケツ」状態で採用活動していたり、人手不足を嘆いている人事の負け組企業になっていませんか?上司の「常識」は本当に正しい一般常識ですか?労務コンプライアンスはOJTで学ぶものではなく、研修として経営層含めた全従業員に行うことが必要です。
たとえば、
☑社用車の修理代を請求し、「報償責任」という言葉を知らない
☑有給休暇の取得率が低く、「時季指定」という言葉を知らない
☑ミスをした従業員に「帰れ」と言う。「帰責事由」をしらない
☑セクハラ・パワハラの判定が理解できず、「心理的監禁状態」という言葉を知らない
☑ノルマ至上主義で職場が回っており、「コンプライアンス・リスク」という言葉を知らない
☑心理的安全性という言葉と理由の説明ができない
☑給与や税金の基本ルール(現物給与や経費扱いとなる費用)を知らない
☑清掃・朝礼を始業時刻前に行っている
☑外国人や性マイノリティーへの差別的な発言
普通の会社に勤めている方からすれば上記は信じられないことばかりかもしれませんが、中小企業は複数に当てはまるような会社も多くあり、こういった現代の「常識外れ」の会社には当然人は集まりませんし、口コミサイトに書き込みされればさらに人は集まりません。一人でも部下がいるなら知っておいてほしい基本中の基本ばかりですが、知らない人も多くいます。そして、人手不足は必ず会社に問題があります。
人手不足にならない企業の特徴と共通点
ところが、中小企業でも不人気の業界でも人が集まる企業があり、そういう組織には必ず共通点があります。それは、「研修をしっかり行っている」ことです。上司個人に問題があるのではなく、上司への教育を怠った会社に問題があると考えているのです。
研修を外部に委託すると費用も高額ですし、売上に直結しない経費のため中小企業には捻出しづらいことはわかりますが、現代は「従業員を大切にする」会社でなければポテンシャル通りの成長は望めません。
部下だけでなく、後輩をもつような10人ほどの組織規模になれば研修を実施してみてはいかがでしょうか。部下の育て方や売り上げを達成するためのチームビルディングも大切ですが、まず上司や先輩へ労働関連法律に関するコンプライアンス研修を受けさせることが従業員が辞めない会社、つまり人手不足解消に向けた最短で地道な取り組みです。アルバイトスタッフによる「バイトテロ」やなんでもハラスメントと騒ぐ若年層とのレベルの低い人事トラブルも、正しい常識を学び、教育者として成長することで抑止に大きな効果を発揮します。
部下の褒め方がわからない管理職問題
人間関係のコミュニケーションを円滑にするためには、「褒める」ことも大切です。ところが、研修や個人面談を行っていると、必ず一定数、「他人を褒めることができない」という相談者がいます。大企業の幹部の中には褒めることができないことを真剣に悩み、書籍やセミナーで勉強しても結局褒めることができないという人もいます。もはや、これは個性であり、それも本来は認めなければならないかもしれませんが、やはり組織である以上は部下をうまくコミュニケーションを図れないような上司は失格の烙印を押されるリスクもあります。人間関係はその背景やシチュエーションがあり、一言で褒め方をマスターすることなどできるはずもありませんが、当社の顧問先の協力を得て「記憶に残っている褒められ言葉」のアンケートを回収したことがありますので一部をシェアします。あまり真に受けない程度で参考にしてみてください。
◎あの難しい担当者相手によく商談をまとめたね。
◎前見た資料と比べても格段に良くなっているよ。
◎視野が広くて皆助かっていると思うよ。
◎僕はあなたが頑張っているのを近くで見ていますからね。
◎前言った指導をよく理解しているね。
◎仕事を覚えるスピードは自信を持ってよいと思うよ。
◎皆が嫌がる仕事がんばりましたね。お疲れ様でした。
◎私はこの仕事ができるまでもっと時間がかかったよ。
◎今度こっそりそのコツ教えてほしい。
◎その能力を得るまでに相当苦労しただろうね。
これらは言われて記憶に残っている言葉として回収した文言です。たしかに、怒られたことは全て忘れますが、褒められた言葉は一言一句いつまでも覚えているものです。アンケートには他にも容姿や出身校や出身地を褒められてうれしかった票がありましたが、仕事に関係のないことは言われて嫌な気分になる人もいますので使わないほうがよさそうです。
管理職向け労務コンプライアンス研修カリキュラムの例
- 労働者の権利と義務
- 採用担当者が知っておくべき関係法律
- 退職・解雇の法律とルール
- 労働保険・社会保険の基本
- 遅刻・欠勤のルール(ノーワークノーペイの原則)
- 休憩・休日・休暇のルール
- 人事評価者が知っておくべき関係法律
- 不利益変更禁止の原則
- 福利厚生制度と現物給与のルール
- 会社が守らなければならない労務関連法律
- 職場のハラスメント問題の最新情報(セーフ・アウトのライン)
- 監督機関(労基署)の役割
- 管理職はこんなプロセスでクビになる(懲戒処分ルール)
- 部下の指導方法(やってはいけない指導方法)
- トラブルが起きた時の対応方法
当事務所の研修サービス
当事務所でも管理職者向け労務コンプライアンス研修のほか各種研修を承っております。一番人気のハラスメント対策研修の詳細はこちらからご覧ください。
(費用のめやす)
研修時間は90分から半日までご要望に合わせて。研修が初めての企業や当社へのおまかせコースなら90分で55,000円(二部以上は一回44,000円)とお考え下さい。官公庁と学校法人は内規通りで結構です。外部相談窓口とセットなら20%割引。個人研修も対応可(要相談)。派遣先やFC加盟店、グループ企業のほか、税理士・弁護士・中小企業診断士・行政書士等他士業事務所の顧問先へ当社研修サービスご案内時の紹介料につきましては別途お問い合わせください。
※オンライン(ZOOM)研修可。全国対応可。外国語(英語・フランス語)翻訳による講義動画販売可。交通費・宿泊費は別途(大阪市内は無料)となります。受講者数による料金の変動はありません。また、当社会議室利用時は無料(上限30名)、その他地域は企業様でご用意ください。
(労務コンプライアンス研修資料の例)
(当社の人事研修実施先は100社以上、10,000名以上に受講していただいております。)
いますぐお問い合わせする(☎:06-6306-4864)
職場のハラスメント防止対策や研修に関するご相談・お見積り依頼は下記お問い合わせフォームへ内容をご記入のうえ、『送信』ボタンを押して完了してください。
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