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求人募集をかけても応募が集まらないときに見直しする採用計画

2019/10/25

採用は、計画なくして成功無し!!

財務省が平成30年1月31日に公表した調査結果によると、実に71%の企業が人手不足を感じていると回答しています。有効求人倍率は1.6倍を超え、人材確保したくてもできず、今いる従業員で急場をしのいでいる会社は多くあります。採用コンサルティング会社や人材派遣、人材紹介会社はあまりにも費用が高く、中小零細企業にはとても手が届かないと事業主だけでなくコンサルティング会社や士業事務所からご相談を頂くことがここ最近で急に増えました。大企業相手にブイブイ言わしているコンサルタントも、顧問先中小企業に応募が来ない難題には頭を抱えています。

「大企業のようにたくさん予算があれば。」

「大企業のように知名度が高ければ。」

「もっと人気の職種であれば。」

「一人でも採用できれば何とかなるのに。」

全くその通りです。そのような気持ちもわかりますが、無いものを嘆いても改善することはありません。そして、そのような会社の多くは、自社でできる方法に手を尽くしていません。中小企業でも可能な採用計画を怠っていることは無いか、基本をもう一度おさらいしてみましょう。ちなみに、採用計画に市場や競合他社の動向まで取り入れて優位性を高める戦略(採用ブランディング)は大企業であれば当然に行われていることですが、中小企業が真剣に取り組んでいるところは見たことがありません。どころか、採用担当責任者すらいない会社が多く、厳しい言い方をすれば応募者が来なくて当たり前の会社がほとんどです。だからこそ、チャンスがあります。

【データ引用:財務局調査による「人手不足の現状及び対応策」について(平成30年1月31日)

1.自社の客観的理解

変な話ですが、会社の内部にいると自社のことは驚くほど知らないことはよくあることです。自社の事業や顧客先、経営状態については当然のように理解しているものの、「外からどのように見えるか」については客観的に理解している採用担当者は中小企業では極めて少ないのが実情です。例えば弁護士事務所で、「弁護士事務所なのに応募が来ない」という所長がいました。採用計画は慢心を排除し、「弁護士事務所だから応募が来ない」と考えなければなりません。法律の専門家である弁護士が法律を守るのは当然である当たり前を疑い、「当事務所は弁護士事務所ですがこんな事務所です」と、オリジナリティを考えなければ応募者は集まりません。あなたの会社や業種は、あなたが思っているほど世間は知りません。また、他社の待遇をやたらと気にする中小企業事業主も多いようですが、中小企業は競合他社との優劣を競う前に、自社をしっかりと見つめなおすことが必要です。

2.求める人材と求めない人材のバランス

ペルソナ(人物モデル)とも言いますが、中小企業の経営者はまず「優秀な人材」を求めたがります。さて、優秀な人材とはどんな方かと聞くと、経験があって、基礎的な学識があって、勤勉で、元気で、何事にも積極的にチャレンジできる云々な人材と答えます。残念ながら、そんな人材はどこにもいません。100人の応募者の中から数名を選ぶのであれば優秀な人材を選んでもかまいませんが、限られた応募者の中からしか選ぶことのできない中小企業で完璧な人材を求めるのはあまりにも身の丈を知らない愚かさがあります。中小企業は、「取ってはいけない人材」に集中しなければなりません。例えば超大手出身者やあまりにも高学歴な応募者、完璧すぎる履歴書など「自社に応募が来るはずの無い応募者」が来た時には浮足立って即採用を決定する会社がありますが注意しなければなりません。こればかりは経験値につき断定できない難しさがありますが、あまりにも期待値の高い人材は会社と従業員でミスマッチが起きやすいといえます。「期待していたのに大したことない」、「高学歴なのに仕事ができない」などは本来人材の問題ではなく、勝手に期待した会社側の問題ですが、中小企業は無いものをねだり、あるものをあるがままに見ることができません。中小企業に限って言えば、期待値の高すぎる人材はマイナスが目立つため採用しないことが得策です。当社にも過去に超難関試験を突破している応募者や、超大手企業のトップ部門経験者、大手コンサルティング会社出身者から応募が来たことがありますが、当社の身の丈に合っていないことは明らかです。当社は「容姿・経験・学歴・資格・応答がオーバースペック(過剰な能力)な人材は採用しない」ことにしています。

3.定量情報と定性情報の分類

「定量情報」とは数値化できる自社の情報で、賃金や休日数、労働時間や有給休暇消化率などを指します。一方、「定性情報」とは、会社の考え方や福利厚生制度のほか、事務所の雰囲気や従業員たちの働き方など、数値化できないものを指します。これらを分類することで、職場情報を文章化することが可能になります。文章化できなければ求人票は作成できませんよね?ここはものすごく大事なキモで、分類と文章化できれば後はほとんど終わったようなものです。ついでに労働条件通知書(雇用契約書)もこのタイミングで作成しておきましょう。

4.求人票への落とし込み

先に分類した自社の情報を文章化する作業です。ハローワークの他、インディードなど民間企業の求人サイトに掲載しなければ応募は来ません。それぞれ文字数や項目が決まっているため、それぞれ掲載する求人票に併せて文章を増やしたり、減らしたりする作業です。まずは多く作成して、削除していくのが基本です。

5.応募者へのアプローチ

応募があった場合のアプローチ方法を検討します。現代はスマートフォンで気軽に応募できる時代のため、気軽さの分だけ面接に至る確率も下がります。応募したけれど気が変わることはごく普通のため、応募者が面接に来てくれるような丁寧な文章で返信するなど、細心の注意が面接に至る確率を高めます。

6.面接の計画

面接はお見合いです。お互いに気が合わなければ面接で破談となります。面談で「ちょっと・・・」と思う応募者はやむを得ませんが、「是非」と思った人材であったとしても、相手方が働きたいと思わなければ採用することはできません。また、ここまでのプロセスで応募者を募るために求職者を期待させる誇大な求人広告を行っている場合には辞退率が高くなっています。面接の際には3~5くらいで質問を厳選し、面接者との会話に詰まるようなことの無いよう会社側もしっかり準備しておく必要があります。中小企業は外部業者や適当な下位職者に面接を担当させてはいけません。社長自ら面接を行い、採用に真剣であることのアピールも必要です。面接にいい加減な態度の会社は求職者も働く気が失せますし、また採用人事担当者が情けない人物であれば企業そのものが人材育成に真剣に取り組んでいないことを見抜かれます。

7.内定者へのフォロー

内定通知を送ったまま入社日まで放置している会社も多くあります。そして、当日に出社しないと応募者の文句を言ったり、礼儀がなっていないなどと言う経営者もいますが、礼儀がなっていないのは会社です。内定通知(労働条件通知書)を送付したのなら、「内定に承諾いただける場合にはご一報いただけると助かります」など一筆添えたり、内定承諾書を返信してもらうなど最後のコミュニケーションを欠かしてはいけません。多忙で不安な就職活動で、名も知らない中小企業に面接にまで来てくれた応募者に礼を欠くようなことがあってはなりません。手書きの手紙を書けとは言いませんが、一言一句読まれていると思って内定通知(不採用通知)を送ってください。

8.入社日の歓迎

社長自身は初めての入社日を覚えていますか?だれでも初めての職場は不安で、実際に働いてみるまではその会社の本当の実態はわからないと警戒しているはずです。入社日当日に歓迎会を開くのは愚策ですが、新入社員の入社初日は歓迎カードを用意したり、職場にウェルカムボードを掲示するなど、歓迎の意思表示を行いましょう。無駄な儀式のようですが、自分に置き換えて喜ぶことを行えば、早く仕事を覚えて貢献しようと思ってくれるはずです。

9.長期的な教育

人材は採用して終わりではありません。中小企業ではほとんどが座学など無く、現場で吸収していく放任教育ですが、人材の優劣は教育にかかっており教育無くして人材の成長はありません。全メンバーでわざわざ入社してくれた新入社員に対する敬意を払い、温かく末永い視点で教育を実施することが大切です。特に、会社が人材を期待・失望することと同じように、従業員も期待と失望を繰り返しながらモチベーションを維持します。入社後も会社は審査され続けていることを理解の上、教育する側も学ばなければなりません。従業員が長く勤めてくれれば、欠員による面倒な採用計画やコストの再投資など必要ないうえ、助成金が受給できる金銭的なメリットは一時も忘れてはいけません。表面上でもよいので大切にしましょう。ハラスメントに特に厳しい現代では教育係のハラスメント教育もしっかり行っておかなければならず、大変な労力を要しますがいずれ会社に見返りがある先行投資と考えれば安いはずです。

10.入社満足度調査

満足度調査と聞くと難しいと考える経営者も多くいますが、簡単なものでも意識して実施しましょう。わざわざたくさんの項目を作成して記入させる必要はありません。例えば日常的な会話で、職場を緑化してほしいなど改善してほしい点を聞き出すことも入社満足度調査の一環です。早期離職を回避するために適度なコミュニケーションを心掛けるなど、入社後に不満が無いか、評価できる点はあるかなど、従業員から引き出すことができれば今後の採用活動にも活用できます。

おわりに

採用計画は普遍的で、企業の規模を問わずに実践しているものです。基本に忠実に、誠実に採用活動を行えば、大企業に無い魅力を感じた求職者から応募は必ず来ます。大企業はブランドや予算においても中小企業と大差があるように思いますが、大企業も実は必死で採用計画を行っています。関係の無い他社と比較して悲観せず、中小企業は中小企業として基本に忠実に、また求職者に誠実にアピールすることができれば採用もいずれ成功します。

 

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