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従業員から訴えられた企業の対応方法と予防法務の重要性

2019/08/27

退職した従業員から通知が。開封してみると・・・!!

近年は働き方改革の施行、ブラック企業など労働問題の注目度の高まりや労働基準監督署等行政官庁の指導強化によって、従業員や元従業員から訴えられるケースが増えています。ひと昔前までは労働トラブルといえば労働基準監督署へ駆け込み処分してもらうか、訴訟によって勝訴を勝ち取る二極のイメージでしたが、いまは間を取った様々なルートによる紛争解決方法があり、勤務先に対して権利を請求することは珍しいことではなくなりました。愛情を注いだはずの従業員から訴えられたとなると、裏切られたような気分になり頭に血が上ることも理解できますが、怒っても解決することはありません。従業員の言い分や態度の硬化レベル、自社が負う可能性のあるリスクとのバランスを考慮しながら、冷静に対策を検討する必要があります。

《通知された内容の整理》

深刻レベル1.従業員からの書面による請求

普通郵便によるものや配達記録付郵便、内容証明など、本人の意思の強さによって郵便の種類も変わります。代理人を立てずに請求を行ってきた場合は本人との直接の話し合いも可能なため、早急に解決できる可能性はまだ高いといえます。代理人として弁護士名が記載されている場合や内容証明郵便の場合はトラブルの度合いが大きく一定の覚悟をもって通知しているものと思われますので、無視せずに調査を行い、社労士や弁護士等の専門家に助言を仰ぐ必要があります。

運よく当事者間の話し合いで解決した場合には『債権債務不存在確認書』の合意を行うことを忘れてはいけません。トラブルが起こってしまったことは残念ですが、将来に禍根を残さないよう文書で確認しておくことも大切です。

深刻レベル2.あっせん申立書による通知

「あっせん」は会社と従業員の間のトラブルを『裁判によらずに解決するシステム(ADR)』で、労働局によるものが最多ですが、労働委員会や社会保険労務士会でも実施されています。あっせん手続きは非公開であり、当事者のプライバシーは保護され、原則一日で終了するうえ、弁護士や大学教授、社会保険労務士など専門家が公平な第三者として同席し和やかな雰囲気で話し合いが進むケースも多いことから利用者は年々増加しています。強制力はありませんので企業側の出席義務はありませんが、無視するとさらに深刻なステージへ進み話し合いの機会を逃すことにもなりかねないため、申立があればできるだけ出席することをお勧めします。企業が圧倒的に不利な状況であった場合でも、あっせんによる解決の場合には比較的安い金額で和解できることがあります。

厚生労働省が公表した全国380か所に設置された労働相談窓口の相談件数(全体1,117,983件)の調査によると、個別労働紛争相談件数266,535件のうち『いじめ・嫌がらせに関する相談が82,797件(7年連続トップ)』、『自己都合退職(※)に関する相談が41,258件』、『解雇に関する相談が32,614件』とされ、労働局長による助言・指導件数は9,835件、紛争調整委員会によるあっせんは5,201件と報告されています。
※自己都合退職については「辞めたいのに辞めさせてくれない」など退職引き留め(在職強要)の相談です。
【出典元:平成30年度個別労働紛争解決制度の実施状況(令和元年6月26日)】

深刻レベル3.裁判所からの訴状(労働審判申立書)

この段階になれば既に深刻な状態に至っているため、解決を望むのであれば早急に弁護士への依頼が必要です。特に労働審判は申立日から40日以内で労働審判期日が開かれ、出席しなければ負けを認めたことに等しく後日の言い分は通用しません。労働審判では反論書面と証拠提出が結論を左右し、既に管轄が裁判所へ移った以上、答弁書の作成によって結論が大きく変わるため、訴訟の専門家である弁護士への委任が必要です。逆に、訴訟・労働審判へ至る前段階であれば企業のダメージを最小限に抑えることも可能といえ、労働審判で解決せず訴訟となれば敗訴した時に遅延損害金や付加金が加算されて元本を大きく上回る支払金額に上る可能性もあるため、企業にとっては早期解決に向けた最後の妥協チャンスと言えます。

労働審判では最大3回の審理で方向性を決定し、最終的には約7割が『調停(話し合い)』で解決、調停が成立しなかった残りも審判によって約4割が『異議なし』で実に全案件の8割が労働審判で解決しています。労働審判は徹底的な勝ち負けを目的としたものではなく、労使トラブルを早期に解決することを目的としています。さらに傷を深める通常訴訟へ移る前段階ですので、感情的にならずに労働審判で早期解決を目指すことが企業にできる最良の対策となります。

《よくあるトラブル例》

☑解雇によるトラブル

会社が従業員を解雇する際には極めて高いハードル(要件)をクリアしなければならず、個人的に気に入らなかったり、機嫌が悪かったため「明日から来なくていい」などと発言してしまうと企業は重いしっぺ返しを受けることになります。不当に解雇された従業員は解雇無効を主張して『従業員としての地位の回復』、『未払い賃金』の両方を求めて民事裁判を起こします。裁判によって企業側が敗訴した場合、従業員は会社に戻ることになり、また期間中の賃金は一括して支払いする必要があります。しかしながら、会社が解雇する場合には会社の言い分もあるはずです。ブラック企業の反面、不正行為や問題をたびたび起こすなど、モンスター社員であったこともあり得ます。会社としては適切な指導を行った履歴や証明となる証拠(例えば指導書や顛末書など)が多ければ多いほど言い分が通りやすくなります。日ごろから問題社員に対しては文書での指導によって紛争に備えておく必要があります。

☑ハラスメントによるトラブル

セクハラ、マタハラに続きパワハラなどハラスメント関連の防止措置義務化が法定されたことから、ハラスメント対策を講じないままハラスメントを発生させた場合には行為者だけでなく、会社自身も職場安全配慮義務違反を問われて損害賠償請求される可能性があります。ハラスメント系の裁判は会社のイメージを著しく低下させるほか、今いる従業員のモチベーションも低下します。関係者に聞き取り調査を行うなど速やかに実施し、事実であれば早急に和解することが必要となります。ハラスメントの訴えは難易度が高いことから、代理人として弁護士名の記載がある場合には証拠となる証明(録音記録など)を保有している可能性が高く、自信があることは間違いありません。

☑未払い賃金に関するトラブル

固定残業代や変形労働時間制等シンプルではない変則的な賃金制度は厳格な要件があり、未払い賃金を潜在させている可能性があります。不況を理由に支払いができなかったとしても賃金債権は優先度が高く、また労働基準監督署も動きやすい案件のため、『未払い賃金債権のある従業員はあらゆる手を打つことができる』恐ろしい事案です。請求を起こされた場合には早急に調査を行い、できる限り裁判に委ねることの無いよう手を打つ必要があります。しかし最近は未払い賃金を故意に発生させて企業を訴える悪意のある輩も存在することから、調査したうえで事実無根であれば毅然とした対応で徹底排除する必要があります。なお、未払い賃金のほか遅延利息・遅延損害金(6~14%)も合わせて請求されるのが通常ですが、判決に依らずに和解した場合には利息の支払いまで求めないことがほとんどですので、早急な解決が傷を広げない第一となります。

☑労災事故に関するトラブル

企業は労働契約に基づき、安全な職場環境を提供しなければならない義務を負っているため、従業員を怪我させるような労災事故や最近ではパワハラ、セクハラによる精神被害によってうつ病などを発症させてしまった場合には企業に損害賠償責任が生じます。万が一にも従業員を死亡させたり民事訴訟を提起されると労災隠蔽や職場環境の問題について噂が広がり、将来の従業員採用にも悪影響を及ぼします。また、労働基準監督署の指導書や是正命令を受けた場合には紛争時に証拠として採用されるため、日ごろから労働安全衛生に関する管理体制については十分すぎるほどの措置を講じておく必要があります。

《労働訴訟を起こさせない労務管理》

もしも労働トラブルとなってしまった場合には、対応のために相当の時間を使わなければならないうえ、解決のために弁護士を雇ったり、和解金や手数料など高いコストを負担しなければなりません。

訴訟を回避するためには労務管理が重要で、特に『安全衛生管理』と『労働時間管理』が大切です。換言すれば、ハラスメント防止対策や安全管理を怠り、労働時間管理が十分でない企業は訴訟を起こされる可能性が高い状態です。訴えられてから慌ててもダメージを回避することはできないため、日ごろから訴訟を意識した労務管理、『訴えられるスキを与えない安全な労務管理』を行うことが長期的に見れば最もコストの安い方法で、不要なトラブルで時間を取られることのない予防法務といえます。

 

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