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年金事務所から調査の呼び出し通知が届いたら【行政対策】

2019/06/26

(更新日:2023/10/25)

年金事務所の調査が強化されています!

日常業務を行っていると、突然年金事務所から調査の通知が届くことがあります。入退職者が多かったり、また多様な働き方を認める事業者においては、正しく運営しているつもりでも焦ってしまいます。なぜ調査されるのか。何を調査されるのか。インターネットの情報も様々で、いったい何を信じて対策すればいいのかよくわかりません。

当社も長年にわたってお取引先様の年金事務所調査の立会いを行ってきましたが、令和になってから特に年金事務所の調査が厳しくなっていると感じます。

普段は自信にあふれている社長様たちも行政機関による調査となると「何か重大な不正を疑われているのではないか」、「辞めた従業員が密告したのではないか」、「大切な会社が倒産させられるのではないか」と不安を口にされます。

通知が来た場合には冷静に、日時の確認と指示された書類を準備してその日を待つしかないとはいえ、すべての事業主に実施されるものから疑わしい事業所に対する調査まで。良くも悪くも何度も経験している事業主は別として、通常の事業主は不安になるのが普通です。調査の目的を知ることは当然として、自社の環境を見直す良い機会と捉え前向きに取り組むことが大切です。

●年金事務所による調査

●会計検査院による調査

●労働基準監督署(労働基準監督官)による調査はコチラへ

日本年金機構の不祥事問題を発端とした年金不信や働き方改革関連法の施行など、労働・社会保険の注目度に伴って政府の動きも活発化、各行政庁も取組を年々強化しており、ひと昔前と違って事業を行う限りは調査を拒否することはできません。通知を無視してはいけない理由も以下で確認していきましょう。

年金事務所による調査

従業員、退職者や第三者機関からの情報提供とは別に、年金事務所は社会保険加入状況の適正化目的で、定期的にすべての社会保険適用事業所に対して総合調査を行っています。

新規適用事業所であれば届出からおおむね6か月~1年後に一度、その後は約4年に1度の頻度で管轄内全事業所を対象に、『社会保険事務に関する調査・確認の実施について(通知)』や『健康保険及び厚生年金保険被保険者の資格及び報酬等の調査の実施について』といった書面(来所要請通知書)を送付し、熱心に調査を行っています。二回目以降の調査通知が来た場合は、そのきっかけが総合調査なのか、従業員等からの申告による調査なのか通知文書だけでは判別できませんが、「従業員からの申告があった」と電話で答えてくれる場合もあるようです。事業所に朝いちばんから適用調査課が来所する場合は、申告調査の可能性が高いです(調査が長時間に至ることもあるため)。

年金事務所による調査目的は主に以下のポイントを確認されています。

☑アルバイト、パート等の非正社員の加入状況

☑資格取得時期

☑賞与支払い届

☑役員報酬

☑随時改定

《持参(郵送)する必要書類》

①賃金台帳、給与明細書等、給与額が確認できるもの。

②出勤簿またはタイムカード

③所得税徴収高計算書(源泉所得税の領収書)の直近分

④労働者名簿、雇用契約書、就業規則、給与規定

⑤届いた通知書、同封の事業所概要

法律上義務付けられているものばかりで通常の事業所では備え付けされているはずですが、もし未整備のものがあればこの機会に整備しましょう。特に未届の事業所や非正社員の社会保険加入もれについては重点的に調査されており、加入義務の対象となるかは早い段階から十分確認しておく必要があります。

社会保険は万が一従業員に何かあって働けなくなった場合や将来の極めて重要な収入に影響するもので、会社勤務の最大のメリットとも言えます。社会保険に未加入の事業所ではなかなか求人の応募も集まらず、また有能な社員が離職する大きな原因となり人材不足を悪化させます。

➡適用事業所と被保険者の範囲(日本年金機構リンク)

加入漏れや間違いが発覚したら?

総合調査時の他、従業員から年金事務所への申告などで社会保険の未加入や誤りが発覚した場合には基本的に、要件を満たす時期(時効となる過去2年)まで遡っての訂正手続き(遡及適用)が必要となります。

例えば月給20万円の従業員に加入漏れがあった場合は従業員と会社負担の社会保険料は月額約60,000円、ここに未加入月数を掛けると最大で150万円近くになり、複数名の場合はさらに人数分を掛けることにより未払いの社会保険料は膨大な額になります。

年金事務所の加入指導や立入検査を無視し続けた場合は会計検査院等上部機関による調査によって遡及分の社会保険料は一括払い、支払いできない場合は強制的な財産差押えに移行するため、発覚時点で楽観的に自己判断せず、専門家を交えて分割払い(分納)や滞納処分の停止交渉など、どのように処理するか現実的で交渉可能な方法を検討する必要があります。違反者には6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金刑が規定されており、加入漏れの事業に与えるインパクトは相当なものになります。

厚生労働省は平成27年度より国税庁の提供提供によって給与支払事業所情報の付け合わせが可能になり、その後実施した指導により未適用の疑いがある97万事業所数は平成30年3月末時点で42万事業所まで減少、実に毎年10万を超える事業所の加入に成果を上げています。未適用の多い建設業には公共工事の入札に社会保険の加入要件を加え、運輸関連業のほか29年度より飲食業や理容業の許認可手続きの際にも社会保険の加入状況の確認を実施し、平成30年度からはすべての調査を効果の高い総合調査へ移行しており、まさに平成27年を転機に厚生労働省と日本年金機構の指導は質・量ともに抜本的に強化されています。さらにマイナンバーによる照合調査によってもはや逃れるすべはありません。

【日本経済新聞電子版2017.3.29】厚生労働省は来年度から厚生年金に加入していない企業への督促対策を強化する。保健所などの窓口に事業許可の申請に来た際に加入状況を確認する対象業種に飲食業と理容業を加える。未加入の場合は日本年金機構に通報する。国税庁から納税情報の提供を受ける回数も年2回から大幅に増やす。厚生年金の加入を促し、老後の生活の安定につなげる。すでに厚労省は国土交通省と協力し、建設業の許可・更新時に社会保険の加入状況を確認する取り組みを進めている。指導しても加入しない場合は年金機構に通報し、機構が個別に訪問して加入を促している。今回は取り組みの対象を飲食業や理容業にも広げる。両業種は他業種に比べて厚生年金の加入が進んでいないため、対策を強化する。厚労省と年金機構は国税庁から源泉徴収義務がある企業の情報提供を受け、厚生年金の未加入企業の調査を進めている。現在は年2回だが、来年度から大幅に増やす。29日に開く社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会でこうした対策の内容を示す。
 厚生年金の適用事業所数は大幅に増えている。この5年間で約50万事業所が新たに加入し、昨年9月末時点で初めて200万事業所を超えた。未加入業者への対応は進んでいるが、年間10万件規模で増える新設の事業所の加入促進対策が課題になっていた。

立入検査の受忍義務

厚生年金保険法第100条では、「厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関する決定に関し、必要があると認めるときは、事業主に対して、文書その他の物件を提出すべきことを命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」とされています。また同102条では、「第100条の規定に違反して、文書その他の物件を提出せず、また当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した時には6カ月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされています。つまり、事業主は年金事務所の立入検査を拒否したり偽りの報告は許されないことになっています。

会計検査院による調査

一般に馴染みのない行政機関ですが、会計検査院は国庫より支出のある行政機関に対して検査する権限を持っており、個別事業所のほか年金事務所や労働局、ハローワークも対象とする、いわばカネに関する大元締めの行政機関です。補助金や助成金など国庫負担金が適切に使用されているか、事務処理が適切に行われているか調査する強力な権限が与えられており、調査対象となった企業は来訪されての実地検査と関係書類の預かり調査(借用書類検査)を実施されることとなります。

会計検査院の調査は法に則って厳粛に行われるため、事業主の個々の事情を挟む余地はありません。つまりは、「容赦無い」ということです。事業所の実地調査となれば営業どころではありませんし、調査に必要な書類も回収されるため事業運営のダメージは計り知れません。会計検査院の調査対象とならないよう適正な事業運営の不断な努力を続けることが唯一の回避方法と言えます。

社会保険労務士による調査の相談・同行サービス

当事務所は労務・年金等社会保険の専門家として行政各所の調査実施に対するリスク診断、立会い、同行サービスを行っております。

なんの準備もせず代表者自ら出頭する方もいますが、徴収担当者による強い圧力で無理な約束をさせられたり、質問に適切な対応が出来ずに再調査や立入調査とされたり、場合によっては本来違法でないものも疑われ、上部機関への通報対象とされることがあります。

当事務所では現状の把握と、注意する点や指摘されやすい事項の説明など細かい打ち合わせを実施し、調査が滞りなく完了するようフォローを行います。またミスや加入漏れなど万が一問題点が発覚した際の対策や行政各所への説明や交渉方法、改善レポートを用意し当日に備えます。

会計検査院は別として、行政各所は徹底した取り締まりだけが調査目的ではなく、年金制度や労働関連法律の周知、適切な労働環境の整備、将来にわたる改善指導の役割も担っていることから、調査に協力的で、悪質さの程度と将来の健全性が具体的に期待できる場合には少々のミスに寛大な処遇もあり得ます。

中小企業や小規模事業者など誤りが多い場合には顧問社労士として同行・代行し、監督官や調査官に対して適切な意見の主張、反論、説明を行い最悪の事態を回避するようサポートします。重篤な誤りがあった場合でも交渉に強い社会保険労務士が行政機関と粘り強く交渉を行うことで、こちらに有利な条件を引き出すこともできます。

 

既に是正・加入指導や督促通知、立入検査予告通知書などを受け取られた事業主様は至急のご相談をお勧めします。

 

いますぐお問い合わせする(☎:06-6306-4864)

下記お問い合わせフォームにご用件をご記入のうえ、『送信』ボタンを押して完了してください。

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※お問い合わせいただいた事業主様に対する守秘義務は厳守します(社労士法第21条・社労士法第27条の2)

※税務署による『税務調査』に関するご用命は専門の税理士事務所へお尋ねください。

 

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当事務所の行政調査サービス対応エリアは新大阪(淀川区)を中心とした関西地域内【<大阪府>大阪市内・堺市・池田市・箕面市・豊中市・茨木市・高槻市・吹田市・摂津市・枚方市・寝屋川市・守口市・門真市・四条畷市・大東市・八尾市<兵庫県>西宮市・宝塚市・芦屋市・尼崎市・神戸市・伊丹市<京都府>京都市・長岡京市・向日市】とさせていただいております。エリア外のお客様のご要望内容によっては十分なサービスを提供できないことが御座います。

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